「何様ですか?」

タイトルに惹かれて購入

 いつ買ったのかは覚えていませんが、挑発的なタイトルに心動かされて衝動買いしてしまったのがこの本です。

  中学時代に義父から性的暴行を受けた女子高生・平林美和は、義父に殴り殺された弟”ユウちゃん”を内面化し、その囁きに従って ”ファイナルプラン”と名づけられた大量殺人計画を遂行しようとする。一方、倉持穂乃果は意識が高く社交的で、自らの日常や読んだ本の感想をブログに書き続けていた。そんな倉持を嘲笑しながら着々と計画を進める平林であったが、その先には思いがけない事態が――。

  主人公の平林美和は、クールでニヒリストな女子高生です。彼女は大量殺人を計画するのですが、その中で彼女がこだわるのが「美しさ」。この「美」はこの作品中一つのテーマになっているように思います。

 そもそも、と美和は思う。犯罪者は美しくなければならない。どれだけ世間の耳目を集める犯罪を遂行しても、捕まった犯人の容姿がパッとしなければ物笑いの種になるだけだ。

その点、美和の容貌は申し分ない。生々しさを感じさせない妖精的な美しさ。どんな犯罪を犯してもサマになるはず。

 登場人物の一人、倉持穂乃果が女子アナになりたいと知ると、

二十六歳くらいを境に女はガクンと老けるということだ。しかも何故か「女子アナ」にその傾向が顕著だ。

 また、過去の回想に於いては

…どうしてあんな男に執着するのか。(中略)母が義父をかばい、義父に肩入れしているのはおそらく、女として自分を見てくれる男は義父が最後だと自覚しているからだろう。つくづく年は取りたくない。

 彼女が17歳という年齢で事件を起こすことにしたのも、

十七歳が犯罪者としてさまになるギリギリの年齢だから

 

 ともかく、このようにして計画を進めていく美和ですが、はたして彼女の計画はうまくいくのか…?

 というところで、僕のようなひねくれた読者は「どんでん返し」を期待してしまいます。それも、「夢オチ」や「Deus ex Machina」のようなものではない、もっと意表を突くような…

 

 結論を先に書いてしまうと、少なくとも僕の想像を大きく超えた強烈な「オチ」が待っていました。最も強烈な悪意を持つのは誰なのかということを考えさせられ、「世の中って生きにくいなあ」なんてのんきに思ってしまったりする私でしたとさ。